新春日本国憲法談義
「日本国民は正当に選挙された‥」で始まる日本国憲法は、中学の時に空で言えないと殴られるという、今から思えば憲法の精神を全く無視したクラスで覚えさせられました。私の反骨さはこの頃鍛えられたと思いますが、まあそれはともかく憲法の話です。今年の元日毎日セットしているタイマー付きラジオで目を覚ましました(本当は上に住む夫婦の喧嘩で夜中に一度目を覚ました)。正月一番始まった番組がなんと新春東西漫才大会、じやなくて30分間日本の憲法についてでした。
今オーストラリアでも王制をどうするかで憲法改正が話題になっているためかもしれませんが、内容は日本の憲法改正をめぐる動きの歴史とそれへの危惧でした。オーストラリアでは前世紀の憲法を変えようとしているが、日本は前世紀の憲法に戻ろうとしているように見える、と言っていました。
日本人は忘れている(あるいは私のように教えられなかった)ようですが、オーストラリアは北部の数都市が戦時中に日本軍の爆撃で壊滅しており、またシドニー湾は特種潜航艇による攻撃も受けています。タイにあるクワイ川鉄橋(10年位前に行った事がある)で有名なタイとビルマを結ぶ鉄道建設では相当数のオーストラリア人捕虜も犠牲になっています。
細川首相の評判は海外でも高いですが、コメ市場の開放をしたとか、何をしているかがわかるという事の他に、就任一番第二次大戦に関し謝罪した事が最も大きいようです。歴代の首相が誰も公式に謝罪しなかったどころか、戦犯が首相になったり、首相がおおっぴらに教育勅語を復活させたいと言ったり、当時の唯一の国家主権者に戦争責任がなかったと本気で信じている人が多いような国ですから、細川首相の発言は驚きと新鮮さをもたらし、政策を支持するしないはともかく、やっと日本にもあたりまえの感覚を持った政治家が現れた、とオーストラリア人も感じているのでしょう(と自分の感想を混ぜる)。
で日本国憲法です。もちろん一般のオーストラリア人が日本の憲法がどんなものか知っていようはずはありません(逆も真なり)。しかし学者やマスコミ等知識階級には危惧があるのは事実だと思います。前に日本が比べられたのは北朝鮮だと書きましたが、明治憲法への回帰を思わせる一部の日本人の発言や動きに対するこちらの反応は、ロシア国内の極右勢力の台頭に世界中が困惑するのと同じ種類であるように思います。終戦直後からの冷戦構造の中で、過去の清算をせずに済んでしまった日本が払う代償は、へたをすると今度はかなり高くつくような気がします。
私も改憲論者ですが、方向性は全く逆です。でもこれ以上書いて公安当局にマークされると困るのでこの辺にしておきます。
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