Modern law vs Traditional law
古い話なので覚えている人はいないと思いますが、以前アメリカのワシントン州でインディアン(今風に言えばネイティブ・アメリカン)の二人の少年が宅配ピザを襲い、お金とピザを奪う事件がありました。彼らは結局国の法ではなく部族の法でさばかれる事になり、1年間無人島で自給自足をして暮らす事になりました。
これがオーストラリアで関心を呼んだのはやはり国の法とアボリジニーの伝統的な法の問題があるからです。アメリカやオーストラリアの刑務所は日本や中国に比べて「人権が配慮されている」そうです(最近オーストラリアでは日本の刑務所の労働が、非人道的な強制労働に当たると言う批難が出ました)が、実態は刑務所内で麻薬が使用されたり、エイズ感染が問題になったりする事でもわかるように、矯正施設としての役割は殆ど果たしていないようです。インディアンの少年が刑務所送りにならなかったのも「刑務所に入れると悪い事を覚えるから」だそうです。
ヨーロッパ移民が多数を占めるアメリカもオーストラリアも、白人が作り出した現代法に非常に誇りを持っています。ところがその一方犯罪は増加するばかり、刑務所はその機能を果たしていない事にも多くの人が気付いています。しかしインディアンやアポリジニーの法を認めると言う事は、ある意味でヨーロッパ近代法の敗北を認める事であり、一部の人達には耐え難い事のようです。
似た例として、シンガポールで逮捕されたアメリカ人の少年に対する体罰(鞭打ち刑)が問題になりました。アメリカのマスコミは非人道的だと批難していましたが(アメリカ国民の間にはシンガポールを支持する意見も強かった)、オーストラリアでは一歩下がって事実の報道に留まりました。オーストラリアは犯罪のアメリカ化を非常に恐れており、またアメリカ流の個人主義、行きすぎた個人の権利保護が犯罪に歯止めをかけられない一因だと考えているようです。
しかし自分たちの法体系が一番進んでいると言う自負があるため、インディアンやシンガポール流のやりかたがより効果的だとは知りつつも、批難も賞賛もできないという曖昧な対応を引き起こしているようです。
-
- オーストラリア留学(トップ)
- オーストラリア留学プロローグ
- メルボルンで家探し
- 住み始める
- メルボルン大学の講義に出る
- ふだんの食生活
- オーストラリアの選挙
- メルボルン郊外の農林業
- メルボルンの国際性
- 大学院生
- Night Walker and Possum
- Melway Map
- ブッシュ・ウォーキング
- アボリジニーの土地(アボリジニーの本)
- 大学院
- ATM
- 木を見て牛を見ず
- オーストラリア一の大学
- Viva Republic!
- 夜間外出禁止令
- Great Ocean Road
- ブーゲンビル島の悲劇
- ユーカリの生態
- イギリスよりまずいオーストラリア料理?!
- ABC
- クィーンズランド
- 新春日本国憲法談義
- Made in Australia
- タスマニア物語
- タスマニアの化けの皮
- カンガルー島
- Multiculturalismの功罪
- Clean and Green Australia?!
- The Prince of Wales
- 国旗掲揚
- Invasion Day
- 少年は大志を抱いたか?
- WHAT is different その1
- WHAT is different その2
- オーストラリアと捕鯨
- Japanese?
- 国旗と国歌
- Australian Cuisine?
- Commonwealth Games
- Street Musicians
- 砂上の農場
- States vs Commonwealth
- オーストラリアの視聴者のレベル
- 飛行機事故
- Modern law vs Traditional law
- Japaneseness
- オーストラリアはどんな国だったか
- オーストラリア留学は役立ったか?
- オーストラリア留学は薦められるか?