Viva Republic!オーストラリアの共和制移行問題

 オーストラリアで論議を呼んでいる問題の一つに共和制への移行があります。今の所オーストラリアの憲法上の首長は英国女王です。はっきり言って植民地時代のなごりを未だに留めているわけで、国旗(中に香港など植民地の旗と同様ユニオンジャックがある)と一緒に変えるべきだという意見が強くなってきています。またオーストラリアの小学生の40%はオーストラリアとニュージーランドの国旗とを区別できないそうです。ただこれには当然保守派が反発していますが、時間がかかるにせよ他国の王を抱き他国の国旗を掲げている状態が、どんどん人種的に多様になってきているオーストラリアで続くとは思えません。

 しかし奇妙なのは先日来豪したイギリスの外務大臣にマスコミが「もしオーストラリアが王制を廃止したら両国関係はどうなるか?」という質問をしていたことです。大臣の解答は至極あたりまえの「それはオーストラリアが決める問題であって、結果が両国関係に影響することはあり得ない。」でした。イギリスにとってオーストラリアはとっくの昔からone of themだったのだろうと思いますが、こんな質問を発すること自体にオーストラリアが未だに自分自身のアイデンティティーを持てないでいることが垣間見えたような気がしました。

 2000年のオリンピックはシドニーに決まりましたが、それで勢いづいたのが現政権等の共和国推進派で、開会宣言は他国の女王ではなく、自前の大統領で、新しい旗の下でやろう!と言っています。私には至極当然のいいアイデアに思えますが、反対派は「オリンピックを政治問題に使うな!」と激しく攻撃しています。はて中国の人権問題を楯に、北京でオリンピックを開催すべきでないと騒いでいたのはどこの誰かと言いたくなります。ロシアほどではないにしろ、どこの国でも保守派というのは時代の流れが見えないもののようです。