オーストラリアと日本との違い その1

 オーストラリアへ来てから早いものでもう2度目の冬を迎えようとしています。この間色々とオーストラリアと日本との違いに気がついて来ました。少し徒然なるままに紹介したいと思います。

注 この記事は1994年当時のものです。

自転車

 日本では中学生、高校生が自転車に乗る時によく土方ヘルメットをかぶらされています。格好が悪いので学校近くに来るまではかぶらないのが一般的なようですが。さてオーストラリアでは自転車に乗る時には学生でなくとも必ずヘルメットをかぶるよう義務づけられています。ただしこちらでは自転車と言ったらツーリング用かマウンテン・バイクに限られるので、ヘルメットも競技用の格好いいやつです。

 ミニサイクルやいわゆるままちゃり、通学用自転車などは見た事もありません。自転車の前にかごを付けているのも郵便配達のおじさんくらいのものです(因みにこのおじさんはヘルメットをかぶっていない!)。要は自転車=通勤・通学・お買物というイメージがまだまだ強い日本とは違い、自転車=スポーツという感覚のようです。従ってヘルメットもこの観点から必要なわけで、唯一実用自転車に乗っている郵便配達人はヘルメットをかぶらなくてもいい、のではないかと想像しています。

自動車

 おおっ!あれはケンメリのスカイライン!おおっあれは隣の車が小さく見えるカローラ!とにかく古い車が多い!物を大切にしているのか車検が無いせいなのか、生産した日本ではもう全く見られなくなった車がぞろぞろ走っています。こうした古い車は有鉛ガソリンを焚いて走るそうで、これも先進国中でオーストラリアが最も一人当たりの汚染物質排出量が高い一因です。政府は車の買いかえを促すために有鉛ガソリンの税率を今年から高くしました。日本のように3年毎に車を換えると言うのもちょっと問題ではありますが。

トイレ

 大学で初めてトイレへ行った時のこと、「終わったら手を洗おう!」と言うポスターが貼ってあるので「おいおいここは大学だぜ。」と思いました。しかししかしその後の観察でわかって来たことは、オーストラリア人にはトイレの後で手を洗わない奴が多いという事実です。私の統計によると約半数は手を洗いません(ただし男子トイレのみの観察)。これは教授だろうと学生だろうと同じ傾向です。理由は定かではありませんが、多分学校教育で徹底される日本と違い、家庭教育の範疇に入っているのではないかと思います。

ポリス

 警察は国に属するのではなく、アメリカのように各州に属しており、FBIに当たる連邦政府の警察組織は非力のようです。各州の警察はそれぞれ特色があるわけですが、あまり好ましい物ではありません。

 まずお膝元ビクトリア州の警察はすぐ撃つことで有名です。今年に入ってからもう6人位射殺されているそうです。確かに中にはショットガンを持っていた犯人もいましたが、殺された内の3人は精神病でナイフ等を持って暴れていただけだそうです。

 日本の警察なら盾を持って大勢で押さえこむ所でしょうが、ここでは最初に呼ばれた警官が身の危険を感じてすぐ撃ってしまったそうです。日本と違いいきなり胴を狙い、相手が動かなくなるまで撃つように訓練されているそうです。

 シドニーのあるニュー・サウス・ウェールズの警察は汚職で有名で、資料を取りに来た弁護士に賄賂を要求することなどが行われていたそうです。ただ途上国と違い、交通違反を見つけては金をせびるというせこいことはしないようです。クィーンズランドの警察は人種差別で有名です。今までにアポリジニーの人が何人か拘置中に死亡しています。また先日あった事件では、警官がアポリジニーの子供をパトカーに乗せ、数十キロ離れた所で降ろすという嫌がらせをしたそうです。人種差別は大体どこの警察もしているそうですが、クィーンズランドが最もひどいようです。

デイパック

 デイパックのどこが日本と違うか?女の子が日常町中で使っているタイプのものは、デザイン等でそれ程違いはありません。ハイキング用の物はなぜか2室に別れておらず、私のようにカメラ等を入れると底にたまってしまい、甚だ調子が悪いです。

 でも一番の違いは街中で背負っている人が多く、それも日本と違って老若男女を問わないことです。サラリー・マン風の人が背広にデイパックで歩いていたり、おじいさんが背負っているのもよく見かけます。近所で時々見掛ける正体不明の髭のおじさんは、背広姿にデイパック、そしてローラー・ブレードを履いて、膝と肘にはプロテクターをつけて歩道を滑走しています。

人種差別

 たびたび書いているようにオーストラリアには厳然として人種差別は存在します。ディスコ等には服装チェック(日本と違い客を選ぶわけでなく、非常識な者を弾くため)の他に人種チェックをしている所もあるそうです。日本にも差別は勿論存在するし、最近こちらで報道があったのは、若い男が北朝鮮籍の女子高生の制服を切り裂いた話で(私は犯人は差別主義者と言うより精神異常に近いと思いますが)、タイムにも載りました。

 ただオーストラリアと日本で決定的に違うのは、ここでは差別が存在する事を公的に認めて対策を取っている事です。人種や性別などで差別を受けた場合、被害を訴える政府機関が存在しています。日本では大家さんが外国人であるこtを理由に部屋を貸すのを断ることが公然と行われていますが、ここではそんなことを理由にしたら犯罪とみなされます。オーストラリアや多分欧米での差別は意図的で、差別している側は自分が人種差別主義者である事を承知しているようです。これに対し日本人は、何が差別に当たるかを自覚していないように思えます。